Web表示スピード研究会

コアウェブバイタル対策、進まず?ECトップ200の改善状況を調査

この調査は、コアウェブバイタル導入開始後の対策状況をみるために計測しました。2021年6月中旬に導入されたコアウェブバイタルは検索エンジンのアルゴリズムアップデートで、ユーザー体験の評価をスコアリングするための指標です。前回の調査では、開始直前の状況にも関わらず、対策済みのオールグリーン(良好)が19サイトもありました。開始後の対策の進み具合はどうなっているでしょうか?第2グループの対応状況はいかに?

今回の調査では、前回と同様にEC・売上TOP200サイトを計測し、SpeedIndex指標をベースにランキング化し、併せてCoreWebVitals(コアウェブバイタル)の各指標を表したものです。

コアウェブバイタル対策が進んでない?

仮説としては、もっと多くオールグリーンのサイトが増えているだろうと予測していましたが、結果は6サイト増えて、合計25サイトとなり、前回計測(2021年2月~3月の計測)と比較して約1.3倍増加していますが、予想よりコアウェブバイタル対策が進んでないともいえます。

第1グループがコアウェブバイタル導入直前に対応済みだったにもかかわらず、第2グループ以下は、様子見組が多かったということだったでしょうか?

「Web表示スピード研究会」では、コアウェブバイタルはSEO検索ランキングのスコア要素において、タイブレーカーとしての側面があると考えています。つまり、競合同士の場合には、コアウェブバイタルは大きく影響してしまう可能性がサンプルに表れています。特にビッグワード、競合が多い検索ワードでは、コアウェブバイタル対策は、行うべき防衛予算(=想定外の流入機会損失を防ぐための投資)でもあるという指摘もあります。

そのため、第2グループ以下の未対策サイトにとって、コアウェブバイタル対策は今後行うべき、重要なWebマーケティング施策であることが予見されます。(種村)

ECトップ200のSpeedIndexの傾向・2021年2月(前回)と10月(本計測)の比較

ECトップ200のCoreWebVitals各指標とサイト数(割合)の比較・2021年2月(前回)と10月(本計測)の比較

※前回・今回ともに、正常に計測できた191サイトが対象
※オールグローンは前回19サイト、今回25サイト

ECトップ200のSpeedindexランキング・全データ

コアウェブバイタルの結果を色分けしています。
※良好(グリーン)/要改善(オレンジ)/不良・低速度(レッド)

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この調査について

◆本記事のCoreWebVitalsの基準値はGoogle社情報「ウェブに関する主な指標レポート低速なサイトを修正してユーザー エクスペリエンスを改善する」に準拠した形としています。

Good(良好)Needs Improvement(要改善)Poor(不良・低速)
LCP2.5 秒以下4 秒以下4 秒を超える
TBT(※FIDの代替)300 ミリ秒以下600 ミリ秒以下600 ミリ秒を超える
CLS0.1 以下0.25 以下0.25 を超える

従来の一般的な計測ではアイドルタイムと呼ばれる、購入客が少ない午後の時間に計測されることが多く、朝、昼、夜のピークタイムや、土日の計測がほとんどされていませんでした。例えば、メルマガやLINEなどでキャンペーン情報を送った時にサイトがどんな状態になるのかを、ほとんどのEC事業者が知らないのが現状です。

今回の調査では売れている時間帯のコンディションを把握するために、12:30、18:30、22:30の1日3回、比較的高負荷の時間で実施しました。1サイトにつきトップページ、リストページ(カテゴリページ)、商品詳細ページの3つのURLを計測対象としました。

本記事、計測データの指標について

①「Speed Index」……Googleが発表したパフォーマンス指標。ブラウジング開始後、経過時間あたりのファーストビューが何秒で表示されるかを総合的に算出したもの。本計測、分析を行っているスピード研究会では最低目標値 4秒台、推奨値4秒以下を推奨しています。

参考URL:(スピード研究会)SpeedIndexの基本合格基準、5秒から4秒の引き上げを決定!!

誤差や数値の違いについて

今回の計測は、12:30、18:30、22:30の1日3回という、ECサイトにおいて比較的高負荷とされている時間帯に行いました。従来の計測結果と乖離があるとすれば、この時間滞とアイドルタイムの違いが一番の違いとなります。

◆調査期間

2021年10月1日(金)18:30〜 2021年10月14日(木)12:30までの14日間

◆調査対象

ECTOP200のサイト対象に関しては、2019年度のネット通販売上高、上位200社のECサイト(株式会社日本流通産業新聞社「ネット経済研究所」 [2020年版]ネット通販売上高ランキングTOP480データ)を参考としています。

◆調査範囲

計測対象は、前回計測(2021年、EC売上TOP200サイトの表示スピード状況とGoogleのUX重要指標「コアウェブバイタル」対策)と原則同一としたが掲載終了したページについては代替ページで計測した。

1サイトにつき①トップページ、②リストページ(カテゴリページ)、③商品詳細ページの3つのURL(サイトの構成上、該当ページがなく測定できなかったサイトもあり、実際に計測したのは①195URL、②195URL、③195URLの計585URL。リストページと商品詳細ページが同一のため②③に同一ページで計測したのは3URL)。当該サイトURLは、検索エンジンによる検索結果から移動できるURLを用いた。

①トップページ、②リストページ(カテゴリページ)、③商品詳細ページ、それぞれの中央値(median)を平均したものをサイトの代表値とする。

※アスクルの2サイト(ASKUL、LOHACO)は別サイトとしてそれぞれ計測
※ログインや会員登録が必要、モール出店のみ、スマーフォン対応サイトがない場合などは計測対象から除外
※計測後に正常な値が取得できなかった場合は除外(195サイトのうち、4サイトを除外)

◆計測時間

12:30、18:30、22:30の1日3回

◆測定プロファイル

Apple iPhone X(4G LTE)

◆1回当たりの計測数

3 checks

◆計測回数

585URL × 1日3回 × 3checks × 1デバイス × 14日間 = 73,710回計測

◆エミュレート回線品質(4G LTE)

ダウンロード 11.7Mbps/アップロード 11.7Mbps/レイテンシー 70ms

サイト調査実施WEB表示スピード研究会

監修/株式会社ドーモ  占部雅一 レポート/種村和豊 調査解析/村岡温子、畑山慎治

PSI、表示スピード、コアウエブバイタル INPの各対策については